実際のリスキリングの事例は
すでに多くの企業でリスキリングを実施し、成果を上げています。今回は実際にリスキリングを行っている国内外の企業をピックアップし、実際にどのようなリスキリングを行い、どういった成果を出しているのか具体例を紹介しましょう。
ダイキン工業株式会社
ダイキン工業のリスキリングは社内に大学(ユニバーシティ)を設立しました。これはダイキン情報技術大学と呼ばれるもので、2年間社内業務を行わずAIの勉強に集中します。2023年度末の段階で1500人もの卒業生がいるため、デジタル人材を多く出しています。具体的には製品の不具合をAIで分析してメンテナンスのスピードアップにつなげています。
富士通株式会社
富士通はリスキリングとして「Global Strategic Partner Academy」と呼ばれる教育プログラムを開始しました。内容は最先端のデジタル技術やノウハウを取得できるようにするもので、オンラインでプログラムが展開されます。デジタル技術分野での人材育成の強化を図ることで、組織全体としてデジタル化の推進につながります。
LINEヤフー株式会社
LINEと統合したヤフーは、統合前にリスキリングを実施しました。実施当時の従業員は8000人いましたが、すべての従業員に対してAIを業務で活用するための教育を実施しています。2021年にヤフーの親会社だったZホールディングス株式会社による「Z AIアカデミア」を発足させています。ヤフー単体ではなくグループ全体で不足していたAI人材を拡充しました。
AT&T
世界に目を向けるとリスキリングの先駆者として有名なアメリカのAT&Tがあります。従来の収益の柱であったハードウェア領域の技術だけでは、将来的に厳しいことが明らかになった時にリスキリングのための計画を開始しています。
具体的には2020年までに必要なスキルを特定したうえで、現状から必要なスキルに移行するための計画を実施しました。10万人の従業員に対して10億円の投資を行って、4つのリスキリングを実施しました。その結果、技術職の充足や評価や昇進率の向上、離職率を下げるといった結果を出しています。
株式会社八天堂
リスキリングは大企業だけのものではありません。中小企業のリスキリングの事例として広島県の菓子メーカー株式会社八天堂があります。八天堂ではスタンダード能力(SDGsを含めた接客、GXを含めたパン作り、DXを含めた改善)の強化を挙げてリスキリングの実践を進めています。そして実践のためにリスキリング推進宣言を明文化しました。