リスキリングとリカレント教育は似て非なるもの

リスキリングに似たようなものにリカレント教育があります。この両者は社会人が学びを得てスキルを上げるという点については似てはいますが、根本的な部分が全く異なります。では両者はどう違うのか?アンラーニング、生涯学習も含めて違いを解説しましょう。

リカレント教育とは

リカレント教育の語源となっているリカレント(recurrent)は「再発する」「循環する」という意味があります。1969年に発表され、1970年から推進されるようになりました。学校を卒業して社会人となってからもそれぞれのタイミングで学び直して仕事で求められる能力を磨き続ける方法です。

生涯学習とは

リカレント教育に近いもので生涯学習があります。生涯学習も社会人が学びの機会を得るという意味では、リカレント教育に近いですが、生涯学習は人生を豊かに送るために学ぶもので、仕事上のキャリアアップを目的としたリカレント教育とは目的が異なるものです。

アンラーニングとは

アンラーニング(Unlearning)は、「学びほぐし」「学習棄却」という意味がありますが、教育という意味では学びの修正という言葉がいちばん近いです。これまでの価値観やスキルに対して現状とは合わなくなった場合、従来のスキルを一旦停止し、新たなスキルを得ることで自分自身をアップデートさせる学習方法です。

リスキリングとはどう違うのか

リカレント教育をはじめ、生涯学習、アンラーニングとリスキリングとの違いを表にしましょう。

教育の種類 教育の目的 教育の主導
リスキリング 企業にとって必要なスキルを持つ人材の育成 企業・組織
リカレント教育 社会人になってからもキャリアアップのために学び直す 個人
アンラーニング 従来のスキルでは対応できない場合に学び直してアップデートする 個人
生涯学習 趣味も含めた人生を豊かに行うために学ぶもの 個人

出典: リカレント教育とは?意味や必要性・リスキリングとの違い

出典: アンラーニングの意味とは?リスキリングとの違い、メリットを紹介

表にもあるようにリスキリングとその他の教育との最大の違いは教育を実施する主導者です。リスキリング以外の教育は基本的に個人が任意で行うもので、キャリアにつながるか趣味かも含めあくまで自分が学びたいことを自主的に行います。

それに対してリスキリングは企業や組織が主導して行うもので、DX化などの社会情勢に対応するために必要なスキルを持つ人材を育成する点です。そのため企業が必要とあれば個人の意思とは無関係にリスキリングを施すことができますが、個人が理解しないと十分な効果が得られないので、対象者となる個人に対して、あらかじめリスキリングの必要性やメリットを理解してもらうようにしましょう。